ディケンズ・フェロウシップ日本支部

A TALE OF TWO CITIES

『二都物語』

主な登場人物作品の梗概
 




主な登場人物


作品の梗概

物語は1775年に始まり、イギリスとフランスの状態が比較、描写され、フランス革命の起こる前の雰囲気を伝える。

ロンドンのテルソン銀行のジァーヴィス・ロリーが、パリヘ行く途中不思議な伝言を受け取り、それに対して「復活した」という返事を託す。ドーヴァーの宿屋で彼はルーシー・マネットに会い、彼女の父親マネット医師が死んだと思われていたが、実は生きており、バスティーユに投獄されていたのであるが、今度釈放されたと告げる。ロリーはパリの酒場の亭主デファルジの案内で、彼女を父親のいる部屋へ連れて行く。マネット医師は空虚な表情で靴を作っている。ルーシーは父親に娘の存在を認めさせようとするが、余り効果がない。彼女とロリーは彼をイギリスに連れ帰る。

五年後、ロンドンで、テルソン銀行の使い走りをしているジェリー・クランチャーが、ロリーに渡す手紙を持ってオールド・ベイリー裁判所へ行く。裁判所では若いフランス人チャールズ・ダーニ−が国事犯として裁判を受けているが、弁護士シドニー・カートンの力で無罪になる。証人であったロリーとマネット父娘はチャールズに喜びのことばを述べる。

カートンはソーホー(Soho)にあるマネット家を度々訪れる。チャールズもそこの客のひとりである。マネット医師は心身の健康を取り戻し、ルーシーおよび女中のミス・プロスと幸福に暮らしている。舞台はフランスに移る。チャールズの叔父サン・テヴレモンド侯爵が馬車で百姓の子供を礫き殺す。その夜チャールズが侯爵を訪ねる。翌朝、侯爵は死体となって見つかる。死んだ子供の父親に復讐されたのである。

再び話はイギリスに戻る。チャールズ、カートン、およびカートンの相棒のストライヴァーの三人がルーシー・マネットと結婚しようと望んでいる。ロリーがストライヴァーにルーシーに求婚しないように忠告する。チャールズはマネット医師に気持を打ち明け、祝福を受ける。カートンはルーシーに自分の愛について語る。そして、自分が彼女に値しないことを知っていると言い、しかし、彼女と、彼女の愛する人のためならどんなことでもすると誓う。

パリでは、ジョン・バーサドと名のるイギリス人のスパイがデファルジの酒場に来て、デファルジ夫人に、チャールズ・ダーニ−がルーシー・マネットと結婚することになったと話す。一方、イギリスでは、結婚式の前夜、マネット医師はルーシーに、自分がこの成行きに満足していると告げる。しかし、ダーニー夫妻が新婚旅行に出た後、牢獄に隠されていた書類についてかつてチャールズが語った話がよみがえり、マネット医師は記憶喪失症に戻る。彼は、再び靴作りの仕事を始めて、ロリーとミス・プロスを悲しませる。彼が正気に戻ると、ミス・プロスは靴作りの道具、皮、ペンチを壊す。

パリでは革命が勃発する。デファルジがバスティーユ攻撃の指揮をする。また、暴徒が故セン・テヴレモンド侯爵の城を襲い、侯爵の収税人ガベル(Gabelle)は捕えられてパリの獄に入れられる。彼はチャールズに手紙を書いて救助を請う。チャールズはパリに向かって出発する。ロリーも銀行の用事でパリに向かう。チャールズはパリに着くや否や投獄される。

ルーシーが、幼い娘、ミス・プロス、父と共に夫の後を追ってパリに向かう。彼女は夫が投獄されたことを知らされる。テルソン銀行に着くと、ロリーは彼らの身の上を心配する。マネットト医師はかつて自分がバスティーユの囚人だったことを革命家たちの所へ行って語り、それが効を奏してチャールズは命を救われる。

マネット医師は四日間戻って来ない。その間に千百人の囚人が殺される。チャールズは死刑は免れたが、釈放はされない。一年三か月の間、毎日ルーシーは夫の死刑について知らされるのを恐れつつ過ごす。父親は、獄にチャールズが下にいる人を見下ろせる窓があるから、彼女がある地点に立てば彼から見えると彼女に告げるので、以後彼女は毎日そこへ行く。街路では革命円舞がたけなわである。

チャールズは法廷に呼び出され、マネットト医師、ガべル、およびロリーの証言によって釈放され、妻子の許に戻る。しかし、ほとんど直ぐに、また逮捕される。デファルジ夫妻と「もうひとり」の告発によるものだという。

ミス・プロスはジェリー・クランチャーといっしょに買い物に出て弟ソロモソに会う。彼はかつてはイギリス政府に雇われたスパイだったが、今ではジョン・バーサドと名のってコンシェルジェリー(Conciergerie)の看守になっている。シドニー・カートンがその場に到着し、ソロモン・プロスともうひとりの獄吏を連れてテルソン銀行の事務所へ行く。この獄吏がロージァー・クライ(Roger Cly)で、かつてチャールズの召使としてイギリスにおける裁判のとき彼に不利な証言をした男であることを、ジェリーが見破る。カートンはソロモンに、チャールズが死刑の宣告を受けたら、彼の家族と友だちを彼に会わせるよう、そうしなければソロモンの素姓をコンシェルジェリーの役人に暴露するぞと説く。彼はまた、クライをも告発するぞとおどす。ジェリーは死体盗人として、かつてクライのいかさまの葬式のとき、空の棺を開いたことがあるので、この事実によりカートンの脅迫はすごみを増す。

チャールズは再び法廷に立ち、「もうひとり」の告発者がだれかを知る。かつてマネット医師が幽閉されていた独房の壁から、ある書類が見つかり、それによって彼が投獄された理由がわかったのである。1757年に彼はパリ郊外の家に呼ばれ、狂気の若い女と、瀕死の若い男との看病をさせられた。女は若い人妻であったが、サン・テヴレモンド侯爵家の弟によって凌辱され、女の兄がそれを怒って侯爵に決闘をいどみ、重傷を負ったのであった。男は死に、数日後、女も死ぬ。

マネットは家に戻ると、侯爵の妻がむすこの幼いチャールズを連れて訪ねて来る。彼女は死んだ者たちの家族に償いをしようと望んで来たのであった。後にマネットは誘拐され、侯爵の命令で幽閉される。彼はその事情を記して独房に隠して置いたのである。

チャールズはサン・テヴレモンド家の一員として、この証拠によって、二日後に死刑に拠せられることになる。カートンは、デファルジの酒場で飲んでいて、デファルジ夫人が同志たちと、サン・テヴレモンド家の子孫の全滅を計っているのを聞く。また、彼女こそはマネット医師が看病した兄妹の末の妹であることを知る。マネット医飾は、自分がチャールズの宣告の原因になったことで頭が混乱し、また、バスティーユで靴を作っているものと信じる。

カートンは、ロリーに彼自身のパスポートを与えて、パリを離れられるようにしてやる。また、もう一通のパスポートをルーシーに与え、彼女が子供と共に出発できるようにさせる。

獄で、処刑の日の早朝、チャールズはカートンの訪問を受ける。カートンはチャールズと衣服を交換し、チャールズに麻薬を嗅がせて眠らせ、ソロモン・プロスに命じてチャールズを運び出させる。こうして、カートンがチャールズの代りに獄に残る。

デファルジ夫人と同志たちが、ルーシーと子供を捕えに行くが、ミス・プロスに妨げられ、夫人は格闘中に自分のピストルの暴発で死ぬ。

シドニー・カートンは、チャールズとして馬車に乗せられてギロチンに運ばれる。馬車の上では同じ運命の若い針女を慰めてやる。最後の瞬間に、カートンは自分の犠牲でダーニー一家の幸福が保証されたのを誇りに思う。

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